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【田野病院 森下先生(理学療法学科6期卒)も 能登でのDMAT活動から帰着!】

2024.04.02

田野病院に勤務する森下誠也先生も、能登での被災地支援活動から帰着しました。先日紹介した武田先生に続いての帰着です。このほど、森下先生にも突撃インタビューをしました。

森下先生には、熊本豪雨などでの活動経験があり、ベテランのDMAT隊員です。武田先生には、学生やDMATについての知識がない方に分かりやすくなる回答を心掛けて頂きました。森下先生には、卒業生や現場で働く理学療法士・作業療法士にも興味を持って頂けるような回答を心掛けて頂きました。臨場感の伝わる回答を頂きましたので、現場の空気を感じながらお読み下さい。

 

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1 森下先生ご自身の位置づけを教えて下さい。また、チームは何名で構成されていましたか?

―DMATロジスティックチームでの派遣です。
一般的に、よく知られているDMATは複数人を1チームとして派遣してもらい、活動にあたります。僕の前にインタビューを受けた高知日赤の武田さんのチームのような形です。なので通常、基本的には医師、看護師、業務調整員(コメディカルなど)でチームを作る必要があります。

それに対して、ロジスティックチームは個人で派遣してもらうことが可能です。僕も今回個人として派遣して頂きました。DMATロジスティックチームは本部活動に特化した隊員で、チームではなく隊員1人に対して要請があります。そのためにはDMAT養成研修を行うスタッフになることと、その他に研修を受講しておく必要があります。

 

2 派遣された場所と期間を教えて下さい。

1回目は1月17日~22日まで、2回目は2月14日~21日まででした。場所は2回とも石川県庁内に設置された石川県保健医療調整本部でした。

森下先生が活動をしていた石川県庁

 

3 実際にはどのような活動をされていたのですか?

1回目は活動指揮班で、派遣されたDMAT隊とその他の支援団体がどこで何チーム、何名活動しているかについて情報収集することでした。その他にDMAT隊に支援に関する情報提供を行ったりもしました。

2回目は病院・物資支援班で支援を行っている病院の状況について情報収集を行うことをしました。その他に、DMATが撤収を考える時期でもあったため、現在の情報収集システムのスリム化を考えることもしました。

活動中の森下先生

 

4 隊員の健康管理も重要だと思います。ご自身の健康管理はどのようにされていましたか?

―事前に先行して現地入りしていた同じ職場の薬剤師さんに現地の状況を教えてもらったり、天気予報やインターネットによる現地情報を踏まえて持参物や装備を考えたりしました。寒い季節や災害時であることを踏まえて、簡単な常備薬(自分用)と冬用の服、感染検査キット、体温計、アルコールジェルを持っていくことにしました。
派遣先が庁内で、室内での業務だったので、結局寒くなくて助かりました。

 

5 森下先生は発災して間もない混乱期と、発災1ヶ月後の2回、派遣をされた訳ですが、1回目と2回目で、現地がどのように変化していたか、その違いについて教えて下さい。

―1回目は能登半島からの避難が継続していた時期でした。医療機関への物的・人的支援が多く、DMAT以外にも多くの医療支援チームが活動していました。また道路の復旧も十分ではなく、通常2時間で行けるところが4時間以上かかる状態でした。

2回目は、医療支援チームはDMATを含め日赤、JMAT(日本医師会)ぐらいに減っていました。その代わりに、福祉や看護師支援団体、保健支援チームなどが多くなっていました。それから、道路の方は1回目よりは状況が良くなっているようでした。また、医療機関や福祉施設に関しては、「元通りに戻していくために足りないことは何か」を調査している段階に移行していました。

活動に向かう飛行機からの様子

 

6 理学療法士・作業療法士は、「リハビリテーション(生活の再建)」と「医療」の専門職種です。私達は被災地でどのように役に立つことが出来るでしょうか。

―災害支援としてリハ職が現地で活動できる方法はおそらく2つあると思います。

1つ目はDMATや日赤、JMATなどの医療支援チームの業務調整員として活動することです。ただしこれは自分の勤務先が指定医療機関である必要があります。また、日赤に就職できれば日赤が持つDMATの一員になれるチャンスが得られます。いすれにしても所属機関が要件をクリアしておかないとおけません。個人としての活動というよりは所属機関そのものの活動ということになりますので、自分がどのようなところに在職するのか、選択する必要があると思います。

2つ目はJRATとして現地で活動することです。これは研修を受けることで可能になりますので個人でも可能です。被災地支援の第一歩として、多くの療法士さんに挑戦して欲しいです。

 

7 被災地で心掛けていることは何ですか?

―謙虚な気持ちと同時に、被災地の皆さんへの敬意を忘れないことです。

頼まれた仕事はする。基本的に断らずにすることです。知らない土地で未経験の仕事を受けることも多くなりますが、難しい場合には色々な人に相談をして切り抜けていくことです。プラスαとして、自分にできることがないかを考えることも大切です。

支援をするために現地に入らせて頂いている訳ですから、利他に徹すること。「自分は自分は」と言って自分が優先されてしまう状態はダメです。大変な思いをされている被災地、被災者の皆さんに敬意を払い、皆さんをまず立てることです。

次に、自分が所属する部門や班のリーダーの意図(何を目標として活動しているのか)を理解することです。

そして、現地の生活としては、飲食が可能な場合は、現地のお店で食事を取らせて頂いています。お土産もたくさん買います。現地でお金を消費することも、被災地支援になるからです。

土佐リハで講義中の森下先生(3年生 災害と救急救命)

 

8 支援活動経験がない人に伝えたいことは何ですか?

いつ誰が被災者になるかわからないし支援者になるかわかりません。災害時はいろいろなシステムが変わったり、通常ではなくなったりします。また支援に行くためには知っておくべきことがあります。これらのことをまずは知識として知るためにも、ぜひ一度災害に関する研修を受けてもらいたいです。

 

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被災をされ、過酷な状況にある現地の方々の生活がリアルに伝わってくるお話を頂きました。森下先生は、常々被災地支援に参加する理学療法士・作業療法士が増えてくれればと話をされています。臨機応変さが問われますが、準備があれば大丈夫とのことです。高知もいつ被災地となるか分からない状況です。一人でも多くの在学生・卒業生に「備える」気持ちを持って欲しいものです。

 

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